都市の自然観察の楽しさ
ツクツクホウシの勢いが増し、朝夕の空気が、秋の気配を感じられるようになってきました。年々、猛暑日が増え、クマゼミが当たり前のように鳴く世田谷。子どものころの夏はもう訪れないのでしょうか。
今年の夏は、久しぶりに出会った生き物たちがいたなと、振り返っています。
食草のスミレ類に卵を産んでも、越冬できなかったアサギマダラが、ガーデニングによる冬のパンジー、ビオラが増えたことと、温暖化のおかげで、2年前から当たり前となっています。
以前は、ゴマダラチョウが普通に見られていたのに、いつの間にか、このチョウに代わってしまい、最近見れないなと思っていたら、成城の緑地で飛んでいました。
なんて思っていたら、同じ緑地で今度はタマムシ。10年ぶりに出会いました。
カブトムシやノコギリクワガタは、珍しいといっても、みんなの目があるからか、結構毎年見つけているのですが、ゴマダラチョウとタマムシは久しぶりです。
そういえば、今年はヤモリをよく見かけました。自分の家では毎夜、ヤモリが玄関で家を守ってくれています。
コバルトブルーの尻尾が奇麗なニホントカゲも、久しぶりに家の周りでよく見かけました。そういえば、カナヘビもいつになく良く見かけた気がします。
庭の草むしりをしていると、ゴマダラカミキリ。家の周りで出会うのはもう何十年ぶりでしょうか。嬉しくなって捕まえて眺めると、キューキューと鳴いています。カミキリムシは、色んな種類がありましが、それぞれ模様が色々あって、ディティールの美しさを感じる昆虫です。ゴマダラカミキリの模様は、ウルトラマンの最終回に出た最強の怪獣、ゼットンの背中のモチーフとなっています。
今年は、久しぶりに出会う生き物が多いなと感じているなか、車の往来が激しい環状八号線沿いにある桜丘すみれば自然庭園でも、大きな話題が起こりました。
この公園は、以前広大な敷地の民家だったところを世田谷区が購入した公園。化粧品関係のシュウ・ウエムラが育ったところで、シュウ・ウエムラのお父さんが武蔵野の林を再現するというコンセプトで作庭し、コナラやクヌギなどの木々が被う素敵な公園です。公園解説にあたり、地域住民とワークショップを行い、公開後も地域住民グループにより、自然解説や保護活動が行われています。
なんと、日本で1000羽しか生息していないという、ミゾゴイという野鳥が舞い降りたとか。残念ながら自分は見ることができませんでしたが、そこに集う地域住民グループの方たちは、連日カメラと三脚を持って撮影に熱狂したそうで、力作の写真展を公園内の観察センターで行ったのを見に行ってきました。
世田谷は、国分寺崖線という緑の連なりと、多摩川という水辺環境があることから、生物相は豊富です。また、社寺林や屋敷林、かつての小河川を暗渠化した緑道、環状八号線などの主要幹線道路の植樹など、緑がほうぼうに点在しているため、渡りの途中のカッコウやサンコウチョウ、クロツグミなど、お!と思う野鳥に出会えます。
毎年、同じフィールドを見ていますが、久しぶりに出会ったり、今まで見たこともなかった生物を見つけることができるのが、84万人も暮らす世田谷という街の自然の魅力と思っています。見続ける楽しさが、世田谷にはあります。