安心ということ
薔薇。
この時期は色とりどりの薔薇の花が咲き、
見る目とそよ風に漂う香りを楽しんでいます。
子どもの頃は、刺をとって唾をつけて鼻の
上に乗せてサイだ!と言って遊んでいたことを
思いだしますが、薔薇に興味を持つようになった
のは、だいぶ大人になってから。
そのきっかけは、雑木林に咲くノイバラや、
多摩川の河川敷に咲くテリハノイバラを観察し、
図鑑を開いたとき、薔薇の品種改良の原種として
使われていることを知ったことでした。
日本は、野草のバラがたくさんあり、昔から
バラは身近な花で、茨城県のイバラは、バラの
古語の「うばら」が語源だとか。
それにしても、野草のバラは花弁が5枚で
とても素朴な花を、よくもここまで品種改良
したものだと、人間の美への追及心に驚かされ
ます。
しかし、品種改良し続けられた薔薇は病気に弱く、
すぐにウィルスにかかったり、菌にやられて
病気になってしまうという弱点が。
東名高速道路の用賀インター入口近くにある、
瀬田農業公園は、かつて世田谷で盛んだった
花卉園芸の伝承と区民が花づくりに参加できる
公園として整備されたました。
現在、無農薬・無化学肥料による花壇管理を目標に
木酢液や、ニンニクやトウガラシの焼酎漬けを
散布したり、植え替えした花を土に返すなど、
循環型の園芸を実践しています。病弱で農薬の
使用が常識と言われている薔薇の花壇も、この
公園を愛するボランティアたちが熱心に育てて
います。
植物園では開園前に農薬を散布することろも
あるのですが、太陽の熱で蒸発した農薬の
たちこめる薔薇の匂いをお客さんは楽しんで
いるのでは。
いくら安全と言われても、心の底から安心
することはできません。
クレオパトラも花と香りを愛した薔薇。
安心して花に顔を近づけ、香りを楽しむ
ことができることを常識にしたいものです。