natural-ring コイデなきもち。。。

自然とのつながりを感じていたい。日常で出会った環な気持ちを綴ります。

人海戦術

 

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都市に残された里山。

 

小田急線成城学園前駅から世田谷通り方面に歩いて10分。

区立成城三丁目緑地という国分寺崖線の森があります。

明治時代は皇室の御料林で、その後政府が譲り受け、農林水産省の管轄となり

平成10年頃までは樹林地の中に林野庁職員宿舎がありました。

約2haある緑地は、林野庁の赤字解消策の一環として緑地部分を世田谷区に売却され、建物を取り壊し緑地として整備され公開されています。

林野庁が管理していたためか、クヌギ・コナラといった武蔵野の雑木林のほか、アカマツやスギ、サワラなどの針葉樹も見られ、湧き水の水路には、サワガニやオニヤンマが生息しています。

 

現在ここでは、ボランティア、隣接する小学校、世田谷トラストまちづくり、そして世田谷区の協働により、緑地の保全活動が進められています。小学校では総合学習の時間などを利用し、ボランティアの指導のもと全学年が里山体験活動を行っています。(このお話はいずれご紹介します)

しかし、ボランティア活動は平日のため、メンバーが十分とはいえず、広大な緑地の下草刈りなどの保全作業が思うように進みません。

そんな悩みを抱えていた3年前、世田谷トラストまちづくりが、世界的にも有名な金融会社のCSR活動とパートナーシップを結び、毎年初夏から夏の時期に3回ほど企業ボランティアのメンバーがやってきて保全作業を手伝ってくれています。

 

作業は主に、たくさんの野草が咲く環境づくりのため、林床に太陽の光が当たるようにするための茂った笹の刈り取り。

1回の活動で20名ほどが参加してくれ、斜面に横一列に並び、ノコギリ鎌を手に

一斉に上に向かって刈り取っていきます。わずか1時間の作業ではありますが、あっという間に奇麗に。ボランティアだけでは到底ここまで作業を進めることはできません。みんな爽やかな汗をかき、清々しい笑顔。

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サンドウィッチランチの後は竹を切りだし、お土産用のコップづくり。今夜のビールを楽しみに、ジョッキほどのコップをつくったり、蕎麦猪口をつくったり。

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普段は高層ビルの中で1日机に座り続け、社内でも話す相手も限られているため、作業を皆で行うことによる一体感と、笹刈りの成果が目に見えてわかることの達成感を味わえると好評で、毎年手伝いに来てくれる方や、世界各地からこの作業にかけつける人も。まさに多国籍軍による人海戦術の里山保全活動が展開されます。ボランティアたちは管理作業が進むこと、企業側は社員の結束感の醸成や企業市民の責務を果たすことなど、お互いウィンウィン。

自分もこの日ばかりは必死に単語を必死に思いだし、英会話とは呼べないレベルで説明。でも、不思議と通じています。普段使わない頭の刺激で心地よい疲労感を覚えつつ、この時期になると英会話を勉強しようと思うのですが、喉元過ぎてしまと。。。

 

森林荒廃が進む全国の山々。人手不足に悩む各地の緑地保全活動の新たな担い手として、1年に1週間だけでも企業が社員ボランティアを派遣する制度があれば、日本の森林もかなり元気を回復すると期待されます。