種の保存?
今年のツツジは花つきがとても良いと感じています。ツツジに限らず、全体的に良い気もします。先日、造園屋さんと話をしたところ、同感とのこと。
そういえば、今年はウメがなかなか咲かず、3月に入ってやっと盛りとなり、各地の梅園では期間を延長して梅まつりを行っていました。ウメの花が遅いのだから、きっとサクラの開花も遅れるだろうと予測していたのですが、さにあらずサクラは例年通りに咲き始め、ウメとサクラの花を同時に見れる何とも不思議な春を体験しました。
成城にある「神明の森みつ池」と呼ばれる国分寺崖線の樹林地。ここには23区内では唯一、ゲンジボタルが自生しています。港区にある自然教育園や皇居でもゲンジボタルは発生しているのですが、こちらは人が放したのが野生化したと言われています。
ゲンジボタルは、清流が好きなカワニナという貝しか食べないため、自然度が豊かさを知る指標生物です。東京近郊の里山では、5月末からポチポチ出始め、梅雨の最中の6月15~20日あたり、雨上がりのムッとした湿度の高いときに発生のピークを迎えます。毎年ホタルの季節には、この樹林地の保全活動を行っている「成城みつ池を育てる会」のメンバーにより、毎晩交代でホタルの出始めから、見られなくなる6月末までの期間、ヤブ蚊に刺されながら調査が行われます。
今年も5月の終わりころ、そろそろホタル調査を始めようかと思っていた矢先、6月に入ったとたん一斉に出始め、慌てて調査を開始しましたが、なんと6月3・4日にピークを迎えてしまいました。しかも例年は50~60匹前後がピーク時の発生数なのですが、今年は80匹。この10年間の調査では最高記録です。まだ夕方には涼しい風が吹く梅雨入り前。自分がこの森と関わって23年たちますが、もちろん初めての出来事です。横須賀など、他のホタルの自生地でも同様の状況だそうです。
樹木のアカマツは、木が弱ると子孫を残すため、たくさんの松ぼっくりを作ると言われています。今年の春のウメとサクラ。ツツジの花つきの良さ。そしてゲンジボタルの大量発生。近年の異常気象や大震災などが影響し、生き物たちが種の保存を図ろうとしているのでしょうか。来年は一体どうなっているか、とても気になります。