natural-ring コイデなきもち。。。

自然とのつながりを感じていたい。日常で出会った環な気持ちを綴ります。

スプリングエフェメラルを待ちわびる

 この時期の雑木林の作業は、笹刈りと落葉かき。笹刈りをしないと、熊手がひっかかり、落葉かきの効率が下がるため、必須の作業です。

 

 スプリングエフェメラル。春の儚き夢、春の妖精と呼ばれる野草たち。

雑木林の春は、カタクリやイチリンソウ、ニリンソウキクザキイチゲなど、春先に一瞬だけ花を咲かせ、翌年まで眠りについてしまう、まさに妖精のような野草を見ることができます。

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彼女らは、木々が若葉を出す前に眠りから覚め、葉を広げ、太陽の日差しをたっぷり一人占めして光合成したら、一気に花を咲かせ、あっという間に消えてしまいます。貴重な野草となっていますが、あまりにも一瞬の出来事のため気付かないことも多く、開発されてしまうこともしばしば起こります。

 

冬の里山の笹刈りや落葉かきの作業は、スプリングエフェメラルを守るためにも、大切な作業です。

 

世田谷でも、スプリングエフェメラルが春を告げてくれます。その妖精を守るため、今日はこっちの林、明日はあっちと作業を行うボランティアの方たちが活動しています。

 

この日は、イチリンソウの保全作業。団地の片隅の公園で、ひっそりと咲いていたイチリンソウを守ろうと、平成4年から毎年1回ですが、冬の笹刈りを行っています。

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夏の間に草や笹がのび、落葉がたくさん積もったのを取り払います。作業をし始めてから、どんどん群落を広げていて、去年の咲き具合はこうだったとか、作業しながら、今年の咲き具合を楽しみに会話がはずみます。ほんの2時間の作業。すっかり奇麗になり、日差しが地面に直接あたって地面は暖かくなりました。そうすることで、妖精は目を覚まし、動きだします。

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その翌週は、カタクリ群落地の保全活動。北側の斜面地に沢山咲く、知る人ぞ知る場所です。もしかしたら、関東地方では最も南側で自生しているのでは?と思われれる、とても貴重な自生地です。急斜面地にへばりつくように咲きますが、その下は用水路のコンクリートの溝。うっかり足を滑らせ、転げてしまうと大けがをしてしまいます。

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作業は、斜面の下で一列に広がり、上によじ登りながら笹を刈り、そのあとで落葉を下に落とし、造園屋さんが使うバッグに落葉を詰めてロープで上に引き上げて1か所に集めます。かなりきつく、足場が悪くて危険な作業ですが、皆、カタクリがいつまでも咲き続ける自然を残したいと、熱心に作業を行っています。3時間かけて7m×20mの斜面を奇麗にしました。

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自分の住んでいる地域の宝物を、自分たちの手で守り育む。そういう思いが無いと、妖精たちは、どこかへ行ってしまい、二度と会うことができなくなってしまいます。

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桜の咲くころ、春の妖精とまた再会できるのを、楽しみにする年中行事でした。