natural-ring コイデなきもち。。。

自然とのつながりを感じていたい。日常で出会った環な気持ちを綴ります。

間伐体験イベント

ミシミシ、ギシギシ、ググググ、ドッシーン・・・ウォー!!パチパチパチ。

ヒノキの良い香りが漂う森林で、木が倒れた瞬間、歓声があがります。

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6月9日の日曜日、私たちが行っている日本の森林を元気にする活動で、都心で暮らす人たちに、山の管理の大切さを知っていただくため、間伐体験イベントを、多摩川源流の山梨県小菅村で開催しました。この村は10年前は1000人以上も暮らしていましたが、仕事が無いため転出が進み、今では700人台まで人口が減少し、過疎化が進んでいます。f:id:hitoshi-k:20130510112248j:plain

参加者は都心で暮らす10代~60代までの15名。みなさん初めての間伐体験です。

今回は、月に2回、都心からやってきて山の管理活動を行うボランティアグループの小菅村木こり倶楽部の方たちに指導をお願いしました。

f:id:hitoshi-k:20130611221440j:plain準備体操の後、3グループに分かれ、各グループ1本のヒノキを伐採します。用意ができたところで倒す方向を決め、木を倒す補助ロープを木にかけます。ロープを左右に持ち、波打つようにゆるめると、反動で木の上に上がっていくのですが、コツがいるので初めてでは中々うまくいきません。プロは片手であげるそうですが。。。

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ロープかけをしたら、安全に十分気を配りながら、交代でノコギリをひきます。徐々に傾きはじめたら、切っている人は安全な場所に退避し、他の人がロープを引きます。すると、ミシミシ、ギシギシ、ググググ・・・とゆっくり倒れはじめ、バッシーンという音が山に響き木が横たわります。倒れる瞬間を見た参加者は、そのダイナミックさに思わずウォー!と声が出て、無事に倒れたら自然と拍手が起こります。間伐体験イベントでは、必ずウォー!パチパチ!が見られます。

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木の枝を切り取り、4mに切り揃え、担いで一か所に集めたら作業は終了。達成感で自然と笑みが浮かびます。続いて木の皮剥ぎ体験。春から夏にかけ、スギやヒノキは水を沢山吸い上げるので、女性でも皮を引っ張ると面白いように簡単に皮が剥がれます。奇麗に丸裸にされ、真っ白でツルツルした肌をさらした丸太は、手触りがなんとも気持よく、気付けばみなさん皮剥ぎ作業に夢中になっています。

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お昼は、その日の朝に採れた山菜をはじめ、鮎、鹿肉、赤米などなど、小菅村の山の幸をふんだんに使った多摩川源流弁当に下鼓。木こり倶楽部さん特性の具だくさん味噌汁も振る舞われ、とても幸せなランチタイムとなりました。本当に美味しいお弁当で、残飯を片づけたスタッフから、何も残ってなかったと報告を受けました。ちょっと値は張りましたが正解でした。イベントではお昼を充実させることは参加者満足度の重要な要素です。f:id:hitoshi-k:20130609123357j:plainf:id:hitoshi-k:20130609122748j:plain

午後は、最近オープンした森林冒険アトラクションの「フォレスト・アドベンチャー」や、弱アルカリ性でお肌がツルツルになる「小菅の湯」をオプションで用意しておりましたが、親子連れの参加者以外は、皆さん引き続き間伐体験を希望されました。今度は2グループに分かれてそれぞれ間伐と皮剥ぎ作業を行ったところで、イベント終了1時間前になったので、汗を流すため温泉に入ることにして作業を終えました。

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戦後間もないころは、銀行にお金を預けるより儲かると言われ、国の拡大造林施策のもと、50年後には大金持ちになっていると夢みながら、山の隅々までスギやヒノキの苗が植えられました。ところが、70年代以降、安い外国産材が入ってくるようになり、また、2×4や軽量鉄骨住宅などの流行で、日本の木材価格は低迷してしまいました。今では立木1本2000円~3000円程度と、日本の林業は衰退してしまいました。

 

スギやヒノキの人工林は、畑でダイコンやニンジンを育てるのと同様、たくさん植えて成長を競争させ、育ち具合をみながら適度に間伐(間引き)することで、健全で太くて真っ直ぐな木が育ちます。昔は建築現場の足場や電信柱に使われましたが、今では需要がなく、間伐しても採算が合わないのでそのまま山に放置される「切り捨て間伐」が主流となっています。でも、間伐されるのはまだ良いほうで、間伐されずヒョロヒョロな木が密生したところも沢山見られます。密生した山は、地面に太陽の光が差し込まないので草も生えず、土がむき出しになって保水能力を低下させます。雨が降れば水はそのまま土をけずりながら斜面を流れ、一たび台風がくれば、切り捨てられた丸太も転がり落ち、家屋を壊す被害が起こります。増水した川の映像に、時々丸太も流されているのを目にすることがあります。

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多くの人が日本の林業に目を向け、少しでも日本の木材を使う暮らしが増えれば、山の管理が進み、草が生い茂る山に戻り、生物多様性の環境も復元されていくでしょう。そして保水力も高まり、洪水の被害も減少されます。何よりも山の雇用が生まれることで地域が活性化するので過疎化を防ぐことができ、山里で培われてきた人と自然が関わって生きていく知恵や文化が継承されていきます。なんとか、今の悪循環を断ち、未来の子どもたちへ豊かな自然を残していきたいものです。

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晴天に恵まれ、山を渡る爽やかな風がそよぐなか、フィトンチッドが充満するヒノキの森での間伐体験作業。心と身体の森林浴を楽しんだ一日でした。

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