夏 生き物のにぎわい
ボランティアの方たちと、生き物が多く生息する緑地を守る活動をしています。
夏は日ごろの活動の成果を実感できる季節です。
この日の活動は、湧水の水路に繁茂したセキショウの間引きと、広場の草刈り。
セキショウを間引くことで、水面に光があたり、トンボもやってきて卵を産んでくれます。水温が年間を通して16℃のため、手をつけるとヒンヤリとします。
羽化したてのオニヤンマが高く舞い上がっていきました。しばらくすれば、縄張りをパトロールする姿も確認されるようになるでしょう。
この日は、少し離れた広場でオナガサナエがじっと休んでいました。このトンボは、尾の先端が特徴的です。警戒心が薄いのか、かなり近寄ってもじっと動きません。
小一時間の作業で、水面が見えるようになりました。
続いて広場の草刈り。こちらは炎天下の中の作業となります。色々なバッタが住める環境を作るため、草の刈り高を所々変えました。
汗びっしょりになりながら、刈り終わったときの達成感はなんとも心地よい疲労です。ショウリョウバッタやオンブバッタ、トノサマバッタなど、色んなバッタが草むらを飛び回り、それを捕食するカマキリなどなどが見られる原っぱとなりました。
翌々日の朝、再び緑地に訪れてみると、羽化途中のニイニイゼミに出会いました。
今年はセミの出現が遅いかなと思っていましたが、梅雨明けが早かったから、そう感じるのでしょうか。
林の中を1時間ほど昆虫採集をして戻ってみると、見事に殻から抜けだして羽を乾かしていたところでした。セミも頑張って生きているんだなーと思いつつ、羽化したての透き通った美しい姿をしばらく眺めていました。
気付くと、ミンミンゼミも泣き始め、夏本番になったことを実感させられます。
一人のボランティアさんが、大きなヒダリマキマイマイを持ってきました。
大きいから持ってきたのかと思ってたら、とても珍しいものを見つけたからと、差し出された小ビンには、中には白くて細長いものが入っています。
恋矢(れんし)と呼ばれるもので、カタツムリの歌の歌詞にある「角出せ、槍出せ、目玉出せ」の槍だろうと言われているものです。
カタツムリは、お互いにこの恋矢を出して相手を刺激しあいながら交尾を行います。交尾が終わると捨てられますが、石灰質のためカタツムリの栄養分として食べられることが多く、めったに見ることがありません。こんなに奇麗で立派な恋矢を見たのは本当に久しぶりでした。
梅雨から7月は、生き物が一段と賑わいを増す季節です。補虫網を持って里山に入ると童心に戻り、あっという間に楽しい時間が過ぎてしまいます。50年後の子どもたちも、カブトムシやクワガタ、チョウやバッタを追いかける林が残されていることを願っています。熱中症に気をつけながらの作業がまだまだ続きます。