花粉症で思ったこと。
2月も終わりになろうとしてたところ、今年も目が痒く、鼻がつまる日々が始まりました。3月10日、東京では煙霧が舞った日曜日、西川林業地域の埼玉県飯能市の山で、知り合いのNPOのお誘いで広葉樹の植樹を行いました。ものすごい強風の一日で、風でスギ林が揺れると、煙のようにワッと花粉が立ちあがったかと思うと、こっちに向かってきて、あたり一面が黄色い霞がかかります。持っていたカメラもバックも黄色くなるほどの量。花粉シャワーをこんなに浴びたのは初めて。花粉の煙が襲ってくる恐怖に怯えながらの植樹でした。
案の定、症状が悪化。。。目薬、点鼻薬、内服薬で抑えていたら、気付けば目薬が残り数滴に。あわてて行きつけのアレルギー耳鼻科に予約したら、4日後ということ。待ってられないので、予約外で受診したら、90分待って、30秒の診察。鼻を洗浄しても2分もかからず終わってしまいました。
日本の国民の30%、約3840万人が花粉症だそうです。ウィキペディアでは、1998年の調査では、年間医療費2860億円、労働損失650億円だとか。15年前の調査ですから今はもっと多額となっているでしょう。患者個人の花粉症対策費も650億円ということで、が薬局、マスク製造会社は花粉特需だそうです。ちなみに今回の受診料、3割負担でしたが1300円で薬が1800円の合計3100円。これを全国の患者数3840万円掛けると、なんと1190億円。3割負担の数字だから、国は2800億円を負担する計算。合計すると4000億!!!
戦後、木材価値が高いことを背景に、戦争引き上げ者の仕事の確保や、戦後復興のため、広葉樹からスギやヒノキに植え替える拡大造林政策が進められました。国の補助金や委託金が出たため、みんなこぞって山に入り、せっせと植林。よくこんな急斜面で足場の悪いところにも植えたもんだと感心させられます。国も林業家も、50年後の昭和70年代に入ったら、伐採して大儲けできる算段だったのでしょう。
建材用の丸太を作りには、野菜の間引きと同じく、間伐を行うことが必要です。昔は電信柱や工事現場の足場材などに使われ、需要があったので、間伐した材もそこそこお金になったのですが、いつしか電信柱はコンクリートに、足場材は金属製の単管パイプに変るなど、大量消費する場を失ってしまいました。さらに、外国産材が安く入るようになり、国産材の価格が下落し、今では間伐しても人件費も出せないため、結局放っておかれ、ヒョロヒョロなスギやヒノキが密生しています。たとえ間伐されたとしても、搬出費も出ないので、切り捨て間伐と呼ばれる、林内放置。大雨が降れば丸太が川に流れ、都市部まで流れ、橋などを壊します。壊れた橋は、税金で修復されるような状況でもあります。
当時の国策として進めた結果、今では切り出すこともままならないスギやヒノキの人工林。国民病と言われる花粉症は国の責任のような気がします。富山県の林業試験場では、無花粉のスギを作って、2014年には2万本を供給できると言ってますが、今、間伐されずに密生しているスギが問題なのです。医療費にお金を使うより、間伐のためにお金を使うほうが、よほど健康のためには良いと思うのですが、如何でしょうか。
阿部内閣は、TPPへの参加を表明しました。これは国際社会上、やむを得ないし、当然かなと思うところもあるのですが、農業に対する阿部首相のコメントは、なんとも具体性のない、心細い発言。50年先、TPPに参加して良かったと、第一次産業に携わる人たちが思えるよう、農作物に大きな付加価値を付けるための技術開発や研究費にも、今から十分な予算をつけることが何より必要と思ったこの頃です。
目が痒い。。。